エンジニアリング組織論への招待を読んだ

エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

僕は本書を読んで、題名とは違う印象を受けた。「エンジニアリング組織論への招待」というより、「エンジニアリング的思考から見る組織論への招待」という感じ。

同じ会社で共通の会社の発展という目標を持っているのになぜ人とのいさかいが起こるのかというようなテーマの話が前半に続く。

その後に経験主義や仮説思考の話が出てくるが、僕はこの思考ができる人とそうでない人に大きな仕事能力の差を感じてきた。まさにこの辺の思考が僕の仕事への取り組み方なので言語化されてみると新鮮だった。

アジャイル開発の歴史が簡単にまとまっていたりするのも面白いが、この本の一番力が入っていたところは技術的負債に関する章であると思う。

いかに技術的負債という言葉が生まれ、どのように今日のように受け入れられ、どのようにまずい点があるのか。技術的負債に関する章については、今まで考えたことがない視点の話が多くあり、僕にとっての本書の価値の多くもこの章にあったと思う。

全体的に、「エンジニアリング」とタイトルにあるだけあり、多くの人が言語化せずに理解していることを言語化して書いてくれていると思う。読んでいて確かに言語にするとこの通りになるだろうなあと思いながら読むところが何度もあった。多くの人に気づきを与える名著であると思う。

エンジニアとして小さな単位から大きな単位まで率いるリーダーはもちろん、エンジニアでない立場でもエンジニアを率いる立場の人は読んで損はない。