「WHYから始めよ」を読んだ

WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う

WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う

これもまた以前から気になっていてウィッシュリストに入れておいたいただきもの。バンクーバーに持ってこれたいただきものはこれぐらいだったので他のいただきものの本は帰国してから読みます…色々と途中で読む本を買える癖があるので中途半端なことになってしまった。

本書は、商品1つ1つの詳細に関わらず人を引きつける企業とそうでない企業の差は何かについて焦点を当てて解説を試みた本である。副題には「インスパイア型リーダーはここが違う」ということで企業のリーダーに向けられた本のように思えるが読んでみたところそうでもない。

構成がシンプルで、ひたすら「WHY」について焦点を当てて書かれている。「WHY」とは何で、これを実践している企業はどれで~という流れ。焦点が一つしか無いのでとてもスラスラ読めて理解も深まる感じがした。

なぜライト兄弟やキング牧師は革新をなし得たのかという一見ビジネスとは関わりのなさそうな解説から始まり、Appleはなぜ既存業界を革新できたのかという流れで解説される。

ただ、こういうビジネスに関する本の常であるけども、基本的に起こったことに対しての後付けからの分析になるのでこれからの未来を予測するものではない。ただ本書ではもちろんこの「WHY」こそが持続する企業に必要なものであり、リーダーに必要な資質であると解説している。僕も本書にすっかり説得されてしまったし、自分の経験則からしてもそのような理由付けは割としっくり来ている。

実際に本書に何度も例として出て来る例としてAppleがある。僕はAppleは結構好きな企業だったし、家のコンピュータたちもMacを基準に組み合わされていたが、最近はワクワクする体験ではなく何かとスペックを誇ることが多くなり、そんなことはどうでも良いことでスペックを誇るならMacなんてのは2流である。世界中のメーカーがしのぎを削っているPC/AT互換機にスペックと安さで勝てるわけもないしそんなものをファンは求めてないと思った結果、Appleから離れる気満々になっている。

これはAppleが本書で解説されている「WHY」を失ったからであると本書を読んだ後では理由付け出来るようになる。つまり「WHY」はスペックなど表面に現れるものはなく、企業がなにを目指しているかという姿勢的なものである。

僕自身の例だけだとしっくり来ない人も多いと思うので、気になる人は本書を読んでみてほしい。リーダーとかではなく、一個人として気づきを得られることも多いと思うし、読み物としても面白いと思う。

ちなみに本書の内容はTEDで配信されて人気になったということでこれから該当のTEDの配信も見てみようと思う。

www.ted.com

リモートワークだけ受けるフリーランスになって半年経ってバンクーバーに移住してみた

shishi.hatenablog.jp

前職を退職して半年ほど経ち、今はバンクーバーからこの記事を書いている。移動と居住地の自由のためにリモートワークだけ受けることにして、仕事があるのかとか不安なことはあったけども多くの人に助けられてやっていけている。

Railsプログラマとして

勉強会等で以前から付き合いのあった友人に自分の今やっている仕事を手伝ってくれないかという依頼を頂いたので是非と受けることに。週2程度でもちゃんとした収入になるぐらいには友人の働きかけもありいただくことができた。

仕事はRailsプログラマーとしての仕事だったが、着手した機能の目指すところや期限に対する認識が違ったりしてトラブルになったことがあった。言った言わない論争は置いておいて、自身に空気を読むのは不可能だったということはアピールすべきだったかなと思う。おそらくリモートワークだとこのへんが一番トラブルになりやすいかなと思う。

僕と一緒に仕事をした人のうちでは僕は情報共有しようぜとうるさい方であったと思っている人が多いと思うんだけども、自分で思っているよりリアルなコミュニケーションでそういう共有を実現していたのかなと思うこととなった。

顧問?アドバイザ?として

上記Railsプログラマのお仕事と並行して某企業の基幹システムを作り変えるプロジェクトがあり、上流を見るコンサルに依頼し実際にプログラミングするSIerも決まってはいるが、ユーザー側(某企業側)の目線で本当に彼らのやっていることが理にかなっているか、彼らのプロジェクトの計画、コードの品質等に問題がないか等を検証して欲しいという仕事があると、また別のプログラマの友人から紹介されたので受けることに。基幹システムの入れ替えということでそれなりに長期のお仕事であり、願ってもない条件。

このお仕事で初めて “S0” とかいうメソッド名や、そういう命名規則で生きる人達に実際に遭遇して、エクセルでクラス名やメソッド名を管理する人達が都市伝説でなかったことを思い知る。

こちらでは特に情報共有による問題は起きていないように感じていて、週1程度のSlackでの音声ミーティングと日々のチャットで問題なさそうな様子。いやもしかしたら不満を持たれているかもしれないので聞いてみなければ…

その他

その他、完全にリモートワークとして受けることを了承してもらえない仕事(必ず週1とかでも会社に来てほしいという条件等)、報酬が自分の設定する最低ラインを下回る仕事等はいくつかお断りさせていただいたものの、今バンクーバーに来ても新しく依頼をいただけるぐらいには仕事の機会はいただけている。エージェント等は一回も使っておらず、本当に今まで色んな所で出会った方々によって助けられている感じである。

現在はRailsプログラマとしての仕事について自分の仕事はほぼ収束していてその時間に別の仕事が入るかなあという状況。なんやかんやと仕事しないことになったとしても現状の仕事で十分生活できるし、あまり仕事を忙しくしてこちらで生活するメリットを活かせなくても困るのでどうなってもメリットがあるなと感じられそう。

現在の状況

現在はバンクーバー郊外に住んで、最近家のそばに開通した電車を使って都会や観光名所等を巡っている状況。そして寒い。だいたい気温は12度ぐらいしかない。まあ家が寒さに強い構造なので家の中はそれほど寒くないんだけども。

今年は特に寒いらしく、普段なら20度ぐらいの最高気温はあるとのこと。だいたい夏でも30度はいかないし冬は-5度程度ということでもしかしたら北海道より過ごしやすいかもしれない。

あと公園や木がいちいちでかい。バンクーバーのあるBC州だけで日本全土ぐらいの面積があるらしい。公園を散歩していたところ普通にリスに遭遇した。野生のリスはたぶん初めて。

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英語についてはまあ意外となんとかなるが、なんともならんときは本当になんともならない。アクセントや話し方に本当に依存する。さらには、こちらに話しかけてきてもらう分にはシチュエーションを加味した上で話の内容を推測できるがニュースとかの英語は本当に難しい。慣れが本当に大事なんだろうなという感じ。ちなみにこちらのニュースはもうひたすらトランプ問題で連日持ち切りである。

今の目標はバンクーバー都市部でうまい飯屋を探して周り、1人でもグループでもバンクーバーの外食でおすすめできるような店を探し当てること。外食コストが高いこと、日本で培った勘が発揮されないことでなかなか計画は進まないが1つぐらいは自信を持って言えるお店を探し当てたい。あと日本のみんなの飯テロのダメージがすごいので反撃したい。

こんな状況で生活しています。お仕事の依頼をいただける方、もしくはより詳しいバンクーバー生活が聞きたいという方はTwitter、コメントなどで是非ご連絡ください。

はじめまして数学リメイク版を読んだ

はじめまして数学 リメイク

はじめまして数学 リメイク

ウィッシュリストからのいただきものの一つ。

最近はバンクーバーに旅立つ直前の時期で、荷物の関係上紙の本はできるだけ置いていきたく一気に紙の本の読書に取り掛かっている。

本書は「数学」とあるが、基本的に「数」の性質についての不思議さ、面白さをおそらくは小学校高学年~大人にまで向けて説明し、「数」の世界へ興味を持ってほしいという意図の本であると思う。

僕としてはこの本を探したのは一般社会で言う方の「数学」、数列や三角関数などへの興味がない自分を啓蒙してくれることを期待して探した本の一つだったので、中身は想定と違うものであったが、全編楽しく読むことができた。

素数、素因数分解、完全数、三角数、分数の計算の仕方等について、公式からは全く触れず、なぜそうなるのかを地道に説明し、自分で計算してその不思議さを体感して欲しいと繰り返し書かれていて、筆者が数のロマンに取り憑かれた人であることが伝わってくる。その熱さに当てられて、小学校以来のさびついた知識が蘇った感じがある。昔から公式だけ覚えていたものも多く、古代文明から続く数学の奥深さを学ぶことができた。

この本は結構有名な本のようで、

404 Blog Not Found:書評 - はじめまして数学

で dankogai も絶賛している。

数のロマンに感心はしたものの僕個人の性質でとらわれることはなかったが、きっと多くの人を数学に目覚めさせるきっかけとなるに十分な良書なんだろうなと思う。

Arch (Manjaro) Linux の日本語入力環境について

単純に自分のMacが古いというのもあって何をするのも動作が重いMacに嫌気が差したので、Linuxデスクトップ環境でちゃんと開発環境を作ってみようとしてManjaroというUbuntuにとってのMintのような、デフォルトである程度気を利かせときましたというディストリビューションがあったのでこれでやってみた。

Manjaroは日本ではマイナーだと思うけどDistrowatchではほぼ常にUbuntuよりも人気のディストリビューションである。僕にとってはGentooは面倒すぎて、Archなら何でもかんでも自分でビルドするわけでもないから時間もかからないし少し慣れてるし良いんだけど労力は減らしたい→Manjaroにたどり着くという感じ。

Archの資産もそのまま使えるし、パッケージ体系ももちろん同じ。ローリング・リリースで常に新しい環境に追いつきやすい。自力でパッケージ作るのも簡単というわけで、Ubuntuとかの不満を解消してくれる感じ。個人ユースだと良さしか感じないが逆にビジネスユースだと嫌われるだろうか。

インストールしただけで使いやすい気の利いた環境になっていたが、日本語の表示はデフォルトでインストールされていたフォントで問題なかったが入力は何も用意されていなかった。

これはLANGを日本語に設定してインストールしてもそうだったのでそういうものなんだろうというわけで日本語入力環境をなんとかしてみた。

なおデスクトップ環境はXfce、変換エンジンはmozc前提である。

fcitx

Ubuntuでもデフォルトで採用されるようになったという今人気が出てきていると聞くIM。

yaourt -S fcitx-mozc fcitx-im

すれば大抵問題なく日本語が入力できるようになる。

ただArch関連パッケージのメンテナ達の歴史的事情による問題がある。Emacsユーザーはこれをまともに食らう形になる。この問題がこの記事を書かせた原因。

ain0204.hatenablog.com

パッケージを直すことも考えたがメンテナとかできないと思ったのでおとなしく引き下がる。参照記事では力技で解決されているが、僕は将来にもこれを自分でやっていくのかと思うと面倒に感じたので別の回避策を考えた。

Emacsが自力で変換エンジンを実装するという変態でなければこんなことで困らなかったのに…

ibus

少し前に次世代Linux IMとして出てきた気がするIM。今はあまり聞かないので永遠の次世代な気がしている。

fcitxのパッケージに問題があるんだから違うIMを使おうという単純な発想。

詳細は割愛するがまともに動いてくれなかったのでボツ。

uim

ずっと一番手にはなってない感じのある歴史あるIM。メンテされている歴史は長くて枯れている感がある。確かDebianのデフォルトとして採用されている。Vi協調モードとかがもしかすると聞いたことある人はいるかもしれない。

結論としてはこれに落ち着いた。

これを

yaourt -S uim-mozc-ut2

するんだけども、PKGBUILDを編集する必要がある。先頭周辺に何をビルドするかの設定がある。uimのパッケージにかかわらず_ibus_mozcだけが有効な状態になっているので、_ibus_mozcの行をコメントアウト、逆に_uim_mozc_emacs_mozcのコメントを外そう。もちろんEmacsを使わない人はいらない。

##
## Build configuration 
##
## You can choose the input method framework to use either ibus and/or uim.
## If you will not be using ibus, comment out below.
#_ibus_mozc="yes"
## If you will be using uim, uncomment below.
_uim_mozc="yes"

## If you will be using mozc.el on Emacs, uncomment below.
_emacs_mozc="yes"

こうすると結果としてはmozc-ut2 uim-mozc emacs-mozcの3つのパッケージがインストールされる。ArchWikiにはIMに関する環境変数を設定せよとも書かれているが書かなくても大丈夫である。

IMの自動起動についてはデスクトップ環境ごとのスタートアップに

uim-toolbar-gtk3 &

と書いておけばIMツールバーが起動してIMも管理できる。というかツールバーなしにはIMも使いにくいのでこうなるのが自然だと思う。

こうしておけばEmacsからもmozc.elやuim.elを通して普通に使えるし、今のところ入力できないアプリケーションがあるとかの問題もない。

これもそもそもパッケージ直しとけやって感じもするんだけど元になっているリポジトリが複数のパッケージから参照されているようで面倒くさくなってやめてしまった。あとGithub以外でのOSSへの関わり方を忘れてしまった感がある。

ちなみにフォントはIPAEx系が思ったよりも美しく見やすいのでプロポーショナルはそちら、等幅にはRictyを使っている。Noto Sans等もあり、一昔前のLinuxデスクトップ環境に比べるとフォントの選択肢も随分と増えたなあという感じ。

システムワイドなフォントの変更や色々なことが簡単にいじれるので、技術にハマるきっかけになったときのOSとかいじるのが楽しかった初心を思い出して思わず日本語環境とか以外にも色々と時間をめっちゃ使ってしまった。

今年の予定(だいたい日本にいない)

ちょこちょことTwitterやリアルに会った人にも話していますが、しばらく東京というか日本を離れる予定です。

具体的には5月のGW空けには今のマンションの部屋を引き払い、荷物を京都の実家に預けに戻ります。そのままだいたい1ヶ月ほど実家に滞在の後、6月頭にはバンクーバーに出発する予定です。

バンクーバーには観光ビザで入るので6ヶ月は基本的にいるつもりで、あとは2回伸ばせると聞いている観光ビザがどこまで伸びるか次第で滞在期間を変える予定です。とはいえ1年以内には帰ってきたいなあと思っています。向こうには日本酒がほとんどない & なんちゃって日本食が溢れているので日本食大好き人間としてはずっとは耐えられないだろうという見通しです。

目的は言語習得のためというのもありますが向こうの人間たちの感覚を掴んで文化を理解したいというのがあります。ジョークとかのセンスを理解したい。たった半年から1年でどこまで理解できるものかは分かりませんがこの辺は飛び込まないと理解できないんじゃないかなと思うので。

あとは人生においてあれやっておけばよかったと思いそうな事実をなくしておきたいってやつですね。死ぬときに「あれやっておきたいと思ってたけど色んな事情で見えないふりしてやらなかったな」ということをできるだけなくす、というのを人生で大事にしたいと思っています。

仕事はそもそもこの海外滞在を可能にするために今の仕事を選んだので、日本で仕事を引き受けているものをそのまま持っていきます。向こうにいる間ずっと契約が維持されるものばかりでもないので、お仕事のお話をいただける方は是非今月中によろしくお願いします。

英会話を始めた

プログラマーとして生活をしていると、英語の読み書きは自然にできるようになってくるものと思うけども、日本人にありがちな話す聞くがすごく疎かというパターンに僕もハマっており、たまに海外旅行するとなんて話したのかは分かるけど脳内の語彙と今聞いたものを一致させる力が足りずだったりとかで歯痒い思いをすること数回、とうとう英会話サービスを使い始めてみることにした。

一応しばらく海外に滞在する予定もあることだし、もっと速く始めておくべきだったなあと自分の重い腰が恨めしい。

始めたのはネイティブキャンプです。

nativecamp.net

僕は学習においては「習うより慣れろ」と反復が肝要であると信じているので、回数が大事だと思って回数無制限サービスであるこちらへ。回数無制限でも随分安いらしいです。回数無制限以外にあまり比較検討してないので他サービスの詳細は知らない…

さすがに初めてのコースは詰まることなく終えられたけど、過信せず初級者コースから順番に進んでいこうと思う。

Joy, Inc. を読んだ

ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント

ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント

先月に出たばかりの本。原著は数年前のはず。先月の退職祝いで頂いた。

本書は日本語になる前から身の回りでこの会社のファンも数人いることを聞いていて、出たときには早めに読んでみたいなと思っていた。良いタイミングでいただけたので帰省で時間もあったので一気に読めた。

本書はエクストリーム・プログラミングを契機として、「喜び」のある仕事を目指した経営者の本である。アジャイル開発の話は出てこないが、いわゆるアジャイル開発・スクラムにとても近い考え方、実践が多く出てくる。なのでそれぞれは珍しくないかもしれない。それでもこの本は他のアジャイル開発・スクラム等の解説本と違い、それで実際に成功している会社であるという説得力がある。

原理主義的なところもありつつ、そのときどきの従業員の都合で新しい制度を「実験」するという姿勢がとても好感が持てた。私も「まずやってみて、だめだったらその時考えよう」と常に言うので、誰にも分からないのだからまずやってみよう、だめだったらだめだったというノウハウが残るわけで、とても合理的なことだと思う。

また、常に実験中であるという考え方もとても良いと思った。良いものは変わっていく。今みんなが良いと思っているものもそのうち変わってしまうかもしれない。「変化を抱擁せよ」の姿勢である。

あと、通り過ぎてきた「あるある」のネタが各所にある。自分で読んでひとつも「あるある」な感じにならないとしたら、よっぽど素晴らしい環境にいるか、鈍感すぎて問題を見れていないのだろうと思う…

ノウハウが細かく説明されているわけではないので、変わるためのきっかけづくりの読み物としてもオススメ。